初夢を見た。
富士の頂を目指す。
足下を見ると、
たくさんの鷹の亡骸と、
腐った茄子。
目が覚めた。
悪夢としか思えない。
年末に開催される、
とある場所での百物語の、
百話目だけを語る単発バイト。
小学生の頃、先生のふりをする人がいた。
授業中、何かの用事で先生が席を外すと、不意に現れる。
いかにも偉そうにしている態度から、違うクラスの先生かと思うが、すぐに見たことのない人だと気づく。
そして、本物の先生が戻ってくる直前に教室から出て行くのだ。
生徒からの声に、大人達もその不審人物の捜索や警戒をするが、どういう訳か見つからない。
偽物は、大人達の目を掻い潜り、先生のいない隙をついて現れ続けた。
結局、常に教室に誰かしらの先生がいるようにすることで、偽物は現れなくなった。
十数年後の同窓会。
そこに現れた先生は、偽物だった。
以来、記憶の中で、偽物と本物が入れ替わりつつある。
動画投稿者の話。
心霊写真を募集したところ、ひとつ変な写真のデータが来たという。
一見すると、普通の集合写真。
男女四人が横に並んでいる。
皆、カメラに向かっておもいおもいにポーズをとっているが、
それぞれの首に荒縄が巻きついている。
まるで、首をくくる直前のような。
心霊写真というより、悪趣味な悪戯を感じて、投稿者に写真の詳細を問うメールを送った。
「四人はまだ神社にいますよ」
という一文と、何処かの住所だけが返信されたので、
写真のデータは削除した。
住所を調べる気も起きない。
「幽霊の声が録音できた」
友人は興奮気味に言った。
なんでも、留守中の部屋に録音機材をセットしていたらしい。
聴かせてもらったが、
なんてことない。
友人の彼女の声である。
そう言うと、友人は困惑して、
「俺に彼女なんかいねーよ、
知ってるだろ?」
そうだ、こいつに彼女はいない。
なんで、いまいると思ったのかがわからない。
脳裏に浮かんだ、見知らぬ女性の姿が薄らいでいった。
「幽霊のふりをしたから、助かった」
廃墟から帰ってきた友人は、
そう言って、息をひきとった。
屋上からの飛び降りが多発するビル。
屋上にフェンスを設置しても、
警備を強化しても、
…ビルを解体して空き地となっても、
飛び降りたとしか思えない遺体が見つかっている。
窓越しに道を聞かれて、簡単な手振りで道案内。
少しして、ようやく自分がいま走行中のバスの中にいることに気づいた。
あのビルから飛び降りるのはやめたほうがいい。
いつまで経っても、地面にぶつからないんだって。
永遠に落ち続けるばかり。
ほら、証拠に。
まだ電話が繋がってるよ。
最近、会話もできるようになったし。
まともじゃないけどな。
心霊スポットに行ってから、行方がわからない友人からの電話でした。
最初は、道に迷って困ったから迎えに来てほしいという内容でしたが。
時間が経つに連れて、内容が変わっていったんです。
おかしいですよね。
すでに録音されたモノが変化するなんて。
最近は絶叫に混じって、女性の笑う声が聴こえてくるんです。
友人の声が途絶えるまで、繰り返し聴いてみようと思ってます。
緊張しているので、気休めになればと思って、よくあるおまじないをやった。
手のひらに人という文字をなぞって、呑み込むというやつ。
口に入れた所作をした途端に、味がした。
おいしい。
近所にヤバい廃屋があるんです。
入ったら絶対に無事では済まないから、警備システムも敷かれてません。だからなのか、侵入者があとをたたないんです。
近所の人はみんな知ってるから、来るのは他県の奴でしょうね。
毎回、警察が辺りを囲んで初めて、侵入があったことを知るんです。
多分、ストレッチャーに乗せられてるのは遺体だと思います。皆、被さったシーツが膨らんでるんです。
両手を合わせて座ってるみたいに。
検分をしている警官達の側でいつも、場違いなエプロン姿のお婆ちゃんが両手を合わせてジッとしてるので、彼女のおかげで警官は無事なんでしょうかね。
「乃内奈村恩赦会一同」と裏に書かれた写真が一枚。
老齢の男女の集合写真。
この写真を見ると、
ここに写る人達の恐ろしい末路をどうしても想像してしまい、涙が溢れてくるのだという。
そして気がつくと、写真をびりびりに破いているのだそうだ。
写真の出どころはいっさい不明。
知らないうちにアルバムにまぎれていたと、体験者は語る。
そのひと気のない神社、険しい山奥にあるんだけど、誰がいつ、どうして建てたのかがまったく伝えられてないんだよ。
なのに。
廃れるどころか、清掃も行き届いているし、なんなら行くたびに増築されているのは、なぜなんだろう。
廃屋に肝試し!
埃が積もっていたが、比較的きれいだったから、手当たり次第に蹴り荒らす。幽霊なんているわけねーし!てか、出てきても?オレらの覇気で蹴散らしてやるしー!
こんなに騒いでも彼女が怯えちゃってる。可愛いなぁ。
それにしても、異常に怖がってるな。どした?話、聞こか?
「あのさ…入った時から気づいてたんだけど…
この家、玄関ドアも中のドアも全部、外側からしか開錠できないよ…」
いくつもの鍵が、一斉に閉まる音がした。
行くと恐ろしいことが起きるという心霊スポットがある。
夜中に行こうとした男性。
敷地が見える位置まで行き、すぐに引き返したそうだ。
男性曰く、敷地内に両親をはじめとした家族全員が、集合写真を撮るように並んでいるのが見えたらしい。
遠方に住む両親や、各地に散らばる親戚全員がこんな場所に揃っているはずがない。
その列に、ちょうど自分ひとり分の間が空いてるのに気づいて、恐ろしくなって帰ったのだという。
自分がそこに並んだ途端に、何かが起きるような気がして。
両親や親戚全員は無事である。
ただ、ちょうど男性が行っていたその時刻、寝ていた両親は同じ夢を見た。
知らない場所で集合写真を撮る夢を。
男友達六人と廃墟に行きました。
奥の部屋に一人ずつ入っていくっていう度胸試しをやったんです。
最後の一人、七人目が入ったきり戻って来ない。
問題の部屋にみんなで入ると、そこには誰もいませんでした。みんなずっと、部屋のドアを見れる廊下にいたのに。それっきり奴の行方はわかりません。
もう一つ、行方がわからないものがあるんです。
実はその廃墟、バラバラ遺体が見つかった場所でしてね。
消えた七人目にドッキリをしかけようと、各人がマネキンの各部位を隠して運んで、それっぽく置いてたんです。
奴の前に入り、頭を置いたのは、僕です。
その、両脚、両腕、胴体、頭が揃ったマネキンも、なくなってたんです。
幽霊にもいろんな形があるというか。
亡くなった時の姿だとか、本人の理想的な姿だとか…
いろいろあると思うんですけど。
僕が見たそいつは。
身体中が無数の手に覆われていました。たくさんの手首から先だけが、そいつの身体をペタペタと撫でまわし続けていたから、ずっとぐにゃぐにゃ動いてました。
たぶん、何らかの祟りに「障っちゃった」からでしょうね。
「子供の頃に見た幽霊の話を聞いてください」と、しつこく話しかけてくる、知らない男。
とある村のお話。
真冬の頃。
森の奥に不自然に現れたのは、大きな氷塊。それが、ひとりの人間のような大きさと形を成していたのが一層不気味。
村人は壊してしまおうと、見つけたその場でハンマーでカチ割った。
結局その日の晩に、ハンマーを降った当人は急病で亡くなった。
その家の玄関前に、同じような氷塊があり、村は祟りだなんだと騒ぎだす。
氷塊は慎重に運ばれて、見つかった森の奥へ。
その後、紆余曲折があり、破格の金銭が動いて、高性能な冷凍庫が設置された。
夏になると、尋常ではないモノが現れるとの噂が絶えなかったからだ。
その氷塊を溶かしてもいけないのだと、村が判断した結果である。
この話をしてくれた男性に、久しぶりに電話をかけてみた。
女性がでた。
彼の携帯電話のはずだか。
彼女さんだろうか?
ひと回り、年齢が高いような気もするが…
まぁ、人の好みに口をだすつもりはない。
電話の主はどうしているかを聞いた。
「全部、私のだよ」
それだけ言われて、電話は切られた。
幼稚園の頃に見た悪夢。
それと全く同じシチュエーションが、成人した今、目の前で繰り広げられている。
確か、この場にいると大変なことが起きるような気がするのだか…
いかんせん、幼稚園の頃に見ただけの夢。
最後が思い出せない…
留守電に記録された声は、
聴くたびに絶叫へ変わっていった。
注意事項
①御札を剥がす最中、いかなる物音にも応じないこと。
②御札を剥がした直後、悲しくてしかたない気持ちになるが、決してめげないこと。気持ちを強く持つこと。
③新しく御札を貼ろうとする際、嫌な予感やこのまま逃げ出したい衝動に駆られると思うが、決してめげないこと。気持ちを強く持つこと。
④これからの人生、気持ちを強く持つこと。
⑤この家にまた行きたくなるだろうけど、二度と近づかないこと。気持ちを強く持つこと。
あの家の玄関ドアには、手鏡が外に向けてぶら下がっている。
ドアの前に立つと、ちょうど背後の庭先が肩ごしに見えるくらいだろうか。
かつての住人曰く、
「時々、入って来ようとする奴がいるから、そいつがいると、ドアを開けないようにしてるんだ」とのこと。
そいつがいなくなるまで、時間をつぶすのだという。
結局、そいつがなんなのかは聞けなかった。
空き家となったいまも、ドアには鏡がぶら下がったままだ。
致命的な量の血溜まりを残して消えた、住人の行方もいまだにわかっていない。
「石を鳥居にくぐらせるように投げるんだよ。見てろ」
得意げな顔の友人は手ごろな石を掴み、言った通りに投げた。
すると石は鳥居をくぐった途端、地面に着地することなく消えてしまった。
友人は楽しそうにくり返す。
何度やっても同じように石が消えた。
試しに僕も一回だけやってみた。
小さな石を軽く投げる。結果は同じ。
跡形もなく消えた。
友人は何回か投げた後、飽きたらしく、鳥居をくぐってみたり、境内で一緒に遊んだりした。
翌日。
友人は亡くなった。
噂によると、体内から大量の石が見つかったらしい。
僕の中にも、あるのだろうか。
友人の結婚式でのことです。
新郎が友人でして、招待されたので行ったんです。
滞りなく式は進んでいて、新郎新婦の友人知人からのビデオメッセージをみんなで見るという段取りになって。
白い大きなスクリーンが用意されたところで、急にお腹が痛くなって退出したんですよ。
それで、なんとか落ち着いて式場に戻ったら、ちょうどビデオが終わる寸前でした。
異様でした。
直前に映っていた、スクリーンいっぱいにアップになっている女性の顔。
鳴り止まない拍手と嗚咽するほど泣き続ける招待客達。
そして、信じられないことに、
新婦が別人になっていたんです。
その顔が、あのスクリーンに映っていた、女性に瓜二つでした。
①出現
②瞬き
③声
④疎通
⑤約束
以降、確認がとれず。
おそらくは実行しているのだと思われる。
(廃屋に落ちていたメモ用紙より。
裏に「後念写」と書かれていた)
父方の田舎に幼少期は毎年遊びに行ってました。
商店もまばらにしかない、けれども川や森など遊べる場所はたくさんあった、そんな村でした。
ただ、大人達はみんな、
「田んぼや、畑には不必要に近づくなよ」
そう言うんですよね。もっと、危ない場所は他にもあっただろうに。
確かに、村中の田園農園は柵で覆われていて、いま思うと異様でしたね。
中学生になって、背伸びしなくても柵の中を見れるようになった時のことです。
何の気なしに、柵の向こうに目をやりました。土の中から、無数の日本人形が等間隔で頭だけを出しているんです。
まるで、這い出てくるような。
目があったつもりはなかったんですけどね。