「図書新聞」名物の共和国シモヒラオ氏突き出し広告が復活していて、フフッとなった。だがこの場の終焉を見据えた復活であろう。なんとなく世情ともども暗い気持ちになる。
「図書新聞」名物の共和国シモヒラオ氏突き出し広告が復活していて、フフッとなった。だがこの場の終焉を見据えた復活であろう。なんとなく世情ともども暗い気持ちになる。
さらっとめちゃくちゃいい話を出す若島先生
恵投御礼宣伝。
★『明六社』河野有理著(中公新書) x.gd/oPCzIs
まずは西周についての叙述を妻升子の日記から始めるという端倪すべからざる手腕に刮目。「妻妾論」を明六雑誌に掲載するリベラリズムの鬼・津田真道に対して妻妾同居の西としてはこれを華麗にスルーしかなかろうことがよくわかる。
しかして明六社は事実上啓蒙集団などではなく、「論争する共和国」であるという新たな姿が目配りの効いた手つきで明らかにされるのであった。平易闊達にして深みあり。河野先生の色気のある文体はこれぞ新書、という味わいがありますね。
某所で現物を検分したが、すべて高精細のFMスクリーン印刷で、いにしえの多色刷りの版ズレまでがそのまま再現されており臨場感が生々しい。5pぐらいの極小地名札がみな読めるのだ。また裏面にこれまただいたい6pぐらいで綿々と印刷されている名所案内の類がすべて収録されており、かつまた読める。数百点すべてだ。全3期で30万近いというどうかしている本だが、山本さんのおっしゃる「3冊で1孝和」が胸に響く……そう、家電や家具やカメラやらなんやかやと比較して考えてみよう……この空想日本旅行でどれだけ生活が豊かに……ただ、全巻購読特典にハズキルーペを……
恵投御礼宣伝。『幻想文学怪人偉人列伝』礒崎純一著(筑摩書房) x.gd/1fbHOv 「怪人偉人」とは言うものの、実質的に怪人は終章の国書佐藤社長のみ。特殊版元の特殊版元たる淵源はこの出版人ならざる定義不明にして魁偉な人物であることが淡々とした筆致で明らかにされる。
「偉人」部分はほぼ点鬼簿だが、「幻想文学の黄金時代」という、実質的には存在しなかった時代の偽史が構築されるのが読みどころである。出版史的には、大でも小でもない、中出版社が取り得る生存戦略が全集出版であり、全集版元としての国書と全集編集者としての礒崎氏が構築するエコシステムを俯瞰できるのが重要だろう。先に買っていたので書影は2冊。
伊藤憲二先生に続き、大島明秀先生も人文資源大賞受賞
をResearchmapに明記賜る。ほっこり。ありがとうございます。
大島明秀先生の著作『志筑忠雄』が、
武蔵野人文資源研究所【2025年度人文資源大賞】(歴史・思想系)を受賞されました。
おめでとうございます!
書籍の詳細はこちら→https://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b10094558.html
【2025年度人文資源大賞】武蔵野人文資源研究所は今年度当該賞贈呈を以下決定しました。
《歴史・思想系:大賞》『志筑忠雄』大島明秀著(吉川弘文館)
《芸術・文学系:大賞》京都国立博物館編『宋元仏画 蒼海を越えたほとけたち』(毎日新聞社・京都新聞)
《特別賞》下平尾直『版元番外地 共和国樹立篇』
《新人賞》該当なし
《功労賞》平雅行『鎌倉仏教の中世』
おめでとうございます。賞牌等は例年の如く特にありません。
西へ
「路上に落ちているモノを拾う」というゲーム上の行為で想起されるのが、熊楠もよく引用する17世紀イギリスの文人ジョン・オーブリーの『雑纂』にある一節。「魔法使いの力が家に入ってくるのを防ぐため、ウエストウッドの大半の家では戸口に蹄鉄を掲げている。なおそれは、見つけてきた蹄鉄でなければならない」ってところ。つまり効力があるのは、馬の蹄から外れた、どこかで拾ってきた蹄鉄である、ということだが、これは現在のゲームの進行形態に遠い残響があるものなんだろうか。日本の民俗上では海辺に漂着する「タマ」を拾うことで生命力を更新する事例があるので、洋の東西を問わずこういうのがゲーム上のプレイに反映されているのか。
堀内誠一列車に乗って過去への旅へ
法隆寺宝物館で怪異に遭遇した人の話は聞いたことがある。ほの暗いあの部屋に鎮まる仏の柱例の間を巡り歩いていると、妖しい心持ちにもなろうというものだが、専門家に言わせるとアプローチのあの水辺が異界接近のポイントらしい。本館が池を失った暁には、古美術に潜んでいた様々な情念なども周囲の軽躁に灼かれて枯れていくのかもしれん。
えええ
おつかれさまでございます!
全作品を持っていますが、唯一捨てました。
タイトルと梗概を読んだだけで泣いている。泣きすぎて読まないかもしれない。
www.hayakawa-online.co.jp/shop/g/g0005...
これがみすずだ! という愚直・直裁な装丁。この白マドを見よ。これでいいのだ。内容については誰かお願いします。
むかし来日したばかりの若いドイツ人に「日本のドラマはめちゃくちゃ人を殺しててすごい。特に12チャンネル(現テレ東)は午後になると殺人テレビだ」と言われて笑った。「子連れ狼」の再放送などを観ていたらしい。
『新編 西周全集』は第3巻からの刊行だが、「スター・ウォーズみたいだ」と言っている人がいてなるほどと思った。それぐらい長いサーガになりそうだが、版元がディズニーに買収されたりしないよう望む(いやむしろいいのか)
で
『新編 西周全集』第3巻 x.gd/h7rQb を眺めているが、付録「西周の新造語一覧」に見る「位立」「陰表」「係慕」「所動」「渾体」「根質」「電論」などなど結局その後普及しなかった語が脳髄の何処かに届きそう届かずムズムズしっぱなしである。これはあり得たもうひとつの仮想日本語世界、言語スチームパンクSFが書けるだろう。
それはさておき、『新編 西周全集』(全6巻、国書刊行会)の構成は以下の通りです。
第1巻:哲学・思想編(1)
第2巻:哲学・思想編(2)
第3巻:言語・教育編
第4巻:政治・経済・軍事編
第5巻:翻訳編
第6巻:日記・書簡・資料編
詳しくは国書刊行会のウェブサイトでどうぞ。
パンフレットのPDFも公開されています。
(8/n)
www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784...
西周が翻訳造語した言葉には、例えば次のようなものがあります。
哲学
心理学
生理学
定義
蓋然
概念
演繹法
帰納法
主観
焦点
反証
本能
感受性
具体的
抽象的
これらは、このたび刊行された『新編 西周全集』第三巻に収録された附録「西周の新造語一覧」から一部抜粋したものです。
漢語や漢文の素養があってこそ可能な翻訳の仕事ではあります。
(2/n)
先ほど企画の立役者として石井雅巳さんに触れました。
他方で国書刊行会に、西周はもちろんのこと明治期の文物にも大変に通じた編集者の竹中朗さんがいたのも、21世紀にまさかの西周全集が刊行されるに至った逸せない契機であったことを付記したいと思います。
関連URL
「珍書・奇書を出し続ける出版社」(Daily Portal)
dailyportalz.jp/b/2010/12/14...
竹中朗+山本貴光+吉川浩満「特殊版元探訪――事例・国書刊行会のエコシステム」(『ユリイカ』2023年7月号「特集=奇書の世界」、青土社)
www.seidosha.co.jp/book/index.p...
『新編 西周全集』(全6巻、国書刊行会)ついに刊行開始
西周(にしあまね、1829-1897)の著作、翻訳、日記、書簡を網羅する新たな全集の登場です。
いまでは必ずしもよく知られた人物ではありませんが、西周は幕末から明治にかけての日本において、西洋文化の移入とローカライズ、文化や体制の更新で指導的な役割を果たした人でした。
いまも私たちが使っている言葉のうち、特に学術方面で使われる語彙には、西が造語したものが多数含まれており、現代日本語の建設者の一人でもあります。
(1/n)
国立国会図書館 > 近代日本人の肖像 > 西周
www.ndl.go.jp/portrait/dat...
「彩度の高い世界を知ったみすず書房」の感がある。
趣味が良いとは言い難い新潮社製のマスキングテープ。だが購入
紀田順一郎先生が亡くなって、ぼつぼつと周辺のものを読み返していて笑ってしまったのが、紀田さんに教えられ洋書を英国から取り寄せることを覚えた荒俣宏氏のエピソード。取り寄せたある目録に『ゴールデン・ゴブリン(黄金の鬼)』という日本の小説の翻訳が載っており、コメントに「日本の古典怪奇小説」とある。これは珍本に違いないと注文した荒俣青年、ワクワクして数か月が過ぎ船便で到着した包みを開くと、それは『金色夜叉』の英訳本だった……
また山本さんのポストを使って気が引けるが、永塚先生にご教示を受けて入手した『白行簡 大楽賦』(飯田吉郎編著、汲古書院)がなんとも言えず面白いので改めて紹介推挙しておこう。いわゆる房中術なのか艶書なのか、格調が高すぎて読むにつけ吹き出してしまう。念のため以下例を引く。
「玉莖、振怒して頭を挙げ、金溝、顫懾して脣開く。屹として孤峰の如く、嵯峨として坎を撻つが如し」
「或いは急に抽き、或いは慢く突く。浅く挿せば、嬰児の乳を含むが如く、深く刺せば、凍虵窟に入るが如し」
一読三吟、晩夏の疲弊した心奥に染み入る。