ツリーで『神の蝶』ネタバレしています。要注意
ツリーで『神の蝶』ネタバレしています。要注意
1月からこのかたずっと温めていた感想を吐き出せて満足。これからは多少の配慮を挟みつつ、新刊の話をしていこう。
だってもう2ヶ月くらい経つからね。まあまだ書店では平積みされてるけど……いいでしょう流石に。配慮はします。今回みたいに。
推敲されていない感は確かにあって、例えば説明的な部分が多かったところとか、理論よりも感覚的なところとか、その辺りは作者らしくないと感じた。締切故にそうなったのであるなら、やはり作者には締切を設けず、読者は新刊が出るのを7年くらい待つべきなんだろう……次の作品まで何年かな…………。
『神の蝶』は「世界の真実とルクランの命運」を描き切って終わっているんだが、
おそらく現在の作者なら「それを受容する人々の多様な立場を踏まえた決断」まで描くと思う。だからその場合、巨大花の出現をどう認識するかとか、聖地がただの花であることを公開すべきか否かとか、そういった情報を、シェーシェム師以外の(それこそラーシェル師側など)立場からも平等に描いて結論をつけると思うんだよな。
その辺がなかったのは、やっぱり『獣』以前だからなんだろう。『獣』もまた、エリンの思想に寄せて語る物語だった。
ラーシェル師とラド先生、マジで良すぎないか?????そういえば上橋作品、「別れてしまった二人が両方登場する」ってのはこれまでなかったよね???。マジでお願いします。そういうペアをください。お願いします。次回作にはそういうのを出してください。そういうの大好きです。
インガとナシェムは安定していたよな。バルサとタンダのような安定感があった。なんならバルサとタンダより安定していた。時間が色々あったらその辺の関係性の掘り下げもできたんだろうか。
最高だったのはラーシェル師とラド先生ですね。ああいうの大好きです。外伝をください。お願いします。若き日の二人がどうやって別れてしまったのか、教えてください。お願いします。
しかし今回ルクランとジェードの関係で、彼が彼女を畏怖しそこに傷つくシーンがあったのは結構重要だったかもしれない。かなり人間的だったというか……あまりこの辺は考察できてないが
あーー。“アイシャが読者から遠い“という事例、この段階からあったんだな。あの子はルクランに似てるんだわ。描かれ方も。
アスラはまだ自分の悩みを吐露して泣いたり悩んだりしていたから、理解しやすかったのだが、ルクランとアイシャは生まれながらに異質だから、その異質さとそれゆえの悩みを外に表現し得ないんだろうな。
人物の話をすると、ジェードとルクランのペアはなんかこれまでにない感じで意外だった。なんか初期作って女の方が気が強いペアが多い(シンとリシアとか、カッサとジナとか、それこそタンダとバルサとか)ので。
強いて言えばチキサとアスラ的。或いはアイシャにペアが存在したらこんな感じになりそうだな。要は女の方が重い運命を背負って孤独を抱えて黙ってる。それを男の側から見るから、正直女のほうの気持ちは汲み取りづらい。本人が無口なのもあるが、そもそもその女自体がその社会の“異物”であり、それゆえの孤独は誰にも理解できない。そんな感じ。
『獣』『鹿』『香』とが『守り人』までと違うところは、自然が“大いなるもの”とか“背景”であるか否かだと思っていて、その営みの中で人間がどんな役割を担っているかにフォーカスしたり(鹿)、その自然をコントロールすることの是非(獣)やひとつ調整を誤ることで起きる問題(香)を描いているところは、確かに『神の蝶』から生まれた思考なんだろうとわかる。よくわかる。
だから仮にあの世界の文明が進化して、〈蝶の影〉を駆逐したとして、〈神の蝶〉も現れなくなったことに驚きはするだろうが、そしたら多分技術力を持ってラムラーの人工授粉や栽培を始めると思うんだよな。でも短期的にはそれがうまくいっても、大井戸の花が枯れる時にその次の花が咲かないので、ラムラー自体が存在し得なくなってしまう。二段構えなんだよな。
もし仮に人間が〈蝶の影〉を駆逐してしまえる技術力を持てば、〈神の蝶〉の方も消えてしまうわけだから、すると即時ラムラーも消えてしまう。正直それだけでも「人間と自然」の関係を思い知る仕組みとしては十分機能するんだが、そこに加えて
〈蝶の影〉がないと大井戸の花が次代へ命を繋ぐことができず、そもラムラーが育つ環境そのものが失われてしまう……という長期スパンの影響まで考えられているのが、SF的だと思う所以。
巨大花、作中で発見されたばかりだから名前がないんだよな。「大井戸の花」とでも言うべきかな。
ニュンガ・ロ・イムと異なるのは、人間がかの生命に関わることができるのが産卵という限られた条件下である『精霊』と違い、『神の蝶』の方は人間の振る舞いひとつで巨大花のシステムを破壊してしまいうるということ
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伝承が謎の鍵となるのは作者の得意とするところだが、今回は特に、巨大周期で一生命が終わりを迎えるのを人間が伝承として残し、その時にいかなる行動をするかという点が、『精霊』のニュンガ・ロ・イムの件と共通している。
ラムラーと蝶たちの営みが滅茶苦茶好みだったんだが、どこがかって、
(普通にネタバレしますので要注意)
ラムラーのため雌を守る人間と、ラムラーを受粉させる雄と、雄を喰って次代へ繋げつつ、巨大花を受精させる雌と、巨大花に寄生するラムラーとが、バランスをとりながら成り立って生態系になってるとこ。特に、二者間の相互関係だけでなく、自然界全体を引きで見た時に、雄の側にも別の役割が存在する所が結構新鮮だった。
一応このツリーで隠れるようにするからまあ自衛してくれるだろう、嫌な人は
そろそろ、『神の蝶』の話を堂々としてもいいんじゃないの?だめかな?
これは多分どっちが正しいと結論づけることはできない問題なんだが、オタクは考察が好きなのである。
でも以前検討した時には7年制の方が辻褄が合った気がするんだよな
カザルムが何年制かって議論、毎年10人の入学生で全体で60名ほどって所から鑑みるとやはり6年制の方が有力だよなあ
いいと言われても絞れないので行わない
自分を構成する九冊ってやつ、あれ、全部上橋菜穂子作品でもいいんですか????
ジョウンが話すうちに昔の言葉遣いに戻っていくの、とっっっっっても“癖”
ジョウンとサマンの一件って教育に携わったことのある人間なら皆わかる苦しみな気がする。狡く心の未熟な人間ってのは非常に厄介で迷惑であるが、確かにそういう人間を切り捨てるのは教育ではないし、その者の人格を陶冶することを目指して接する必要がある。でも教育者だって人間なのだから、向き合い続けたら疲弊するわけだ。ジョウンは悪くないとは正直言えないよな。ジョウンが悪いと言えないのと同様に、悪くないと断言はできない。
エリンさんがどんなにいい親であろうとしても、幼少期記憶保持少年ことジェシが「昔はこんなんじゃなかったのにお母さんも成長したね」とか言ってくるから全然格好がつかない。自分の食事を適当に食べてた頃の記憶とか持ってるのできっとあいつ(偏見)
“回文人工知能回”とかいう、もはや復刊収録も難しそうな番外編の話をする。
これはhymn/mtbr両先生に「クイーン/ジョーカー/飛行船/人工知能」というお題で既存シリーズの番外編を作ってもらう企画で、見ての通りこの話からhymn先生のほうは例の怪盗シリーズが派生したという点でかなり貴重なんだが、mtbr先生の方はお題を設定に使わず謎に組み込んでいるのが秀逸で面白かったんだよな。ただし、なぜか人工知能は回文しか話さないせいで回文ばっかり大量に出てくる狂った回(よくある)となっており、それで長い回文に嵌った読者も多かろうと推察される。
何度も言うが私の癖(ヘキ)はジグロ・ムサ/夢水清志郎/野沢レイ/アリーテ姫でできてるんだ…………。本当に野沢レイという女は数多くの小学生を歪めた激強美女だからな。龍伝説を読め。あと風浜クエストやレイ主人公のスピンオフを読め。私は今泉部長(塾長)も好きです。
児童文学繋がりということで今日は許して欲しい。松原秀行/はやみねかおるは青い鳥文庫のパズル/推理系統ジャンルで本当に双璧だったんですよ……。
野沢レイは私の好みの女形成の一端を担った爆イケ女だった……。風浜クエストが大変好きでした……。『いつも心に好奇心!』収録の回文人工知能回も印象的だった……。ありがとうございました。